Round6 Suzuki Takahiro vs. Okada Wataru

By Shimizu Naoki


 鈴木"ムネオ"貴大
第6回戦のフィーチャーマッチはついに現れた、「草の根の暴君ムネオ」こと鈴木貴大だ。
もちろん読者の皆さんもご存知のとおり、時のらせんが入ってからもLOM優勝、プロツアー神戸トップ8など彼の勢いは留まることを知らない。
ただ今回の大会では3勝1敗1分と実は崖っぷちライン。トップ8に残って都チャンプのタイトルをもぎ取るためにはもう負けるわけにはいかない。
対する岡田もLOM優勝の経験やFinalsでのトップ8、数々の草の根の大会での活躍は知られている強豪だ。使用しているデッキは愛用のイゼットロン。「よく事故るんですよー」と笑いながら言う岡田。「岡田渉のトロンは揃わない」と宣言する鈴木はこちらも愛用の太陽拳。「このデッキを回している回数は誰にも負けない」と豪語する。さて。
マッチアップ的には「相性悪いー」との鈴木の発言。果たして結果は如何に。



Game 1
ダイスロールの結果先攻は鈴木、マリガンなしという宣言に対して岡田は手札をライブラリーにたたきつけてマリガンを宣言。「トリプルマリガンくらいが予定通り、毎回1ゲーム目はマリガン」とのこと。1ゲーム目にマリガンなしではじめられたのは1回だけだという。
セカンドハンドを笑みをこぼしながらキープした岡田。両者とも絶対に負けられない戦いが始まった。
《地底の大河/Underground River(9ED)》《アゾリウスの大法官庁/Azorius Chancery(DIS)》という立ち上がりの鈴木に対し《ウルザの魔力炉/Urza’s Power Plant(9ED)》《ウルザの塔/Urza’s Tower(9ED)》から《イゼットの印鑑/Izzet Signet(GPT)》と順調な岡田。
鈴木が《アゾリウスの印鑑/Azorius Signet(DIS)》を置いてターンを返すと・・・

セット《ウルザの鉱山/Urza’s Mine(9ED)》

「空気読めよー!」と鈴木は叫ぶ。早くもゲーム前の予言は外れてしまった。
一方の鈴木は土地が止まった。そのままターンを返し、岡田のアップキープに《入念な考慮/Careful Consideration(TSP)》をキャスト。これは通り、《絶望の天使/Angel of Despair(GPT)》《骸骨の吸血鬼/Skeletal Vampire(GPT)》《怒りの天使アクローマ/Akroma, Angel of Wrath(TSB)》と3匹の「魚」を墓地に泳がせる。 
この後《ウルザの塔/Urza’s Tower(9ED)》を置くものの他に何も出ない岡田。まさかこれは「揃っただけ」というやつなのか!?

先ほどの《入念な考慮/Careful Consideration(TSP)》で手に入れた《トロウケアの敷石/Flagstones of Trokair(TSP)》と《アゾリウスの印鑑/Azorius Signet(DIS)》を置くと、鈴木は勝負に出る。《絶望の天使/Angel of Despair(GPT)》に《ゾンビ化/Zombify(8ED)》。トロンが揃ってしまっている以上、もう予断は許さない。カウンターを警戒していてはどちらにしろ勝てないというプレイングだ。
そして・・・

あ、通った

まさかの展開に嬉しそうな鈴木、《絶望の天使/Angel of Despair(GPT)》の対象に悩む。「はずせないんですけど」と笑みをこぼしながらも真剣に考えている。

「『天才現る』は印鑑なのか」


そして壊れていく印鑑。
トロンランドを狙うのは定石だが、実は《潮の星、京河/Keiga, the Tide Star(CHK)》を失ったイゼットトロンでは青青もしくは赤赤が揃っていないとほとんど何もできないのだ。

この予想外の展開に、辛そうな表情を浮かべる岡田。このまま青マナ不足で終わってしまってはならないので《強迫的な研究/Compulsive Research(RAV)》をキャスト。
《蒸気孔/Steam Vents(GPT)》が捨てられる。これには鈴木は苦笑い。
岡田は《シヴの浅瀬/Shivan Reef(9ED)》を置いてさらに《虹色のレンズ/Prismatic Lens(TSP)》を。一気に青マナが2つ増えた。
《絶望の天使/Angel of Despair(GPT)》は着地させたものの、マナの差は歴然となってしまった鈴木、このまま一気に畳み掛けるべく《蘇生/Resurrection(TSB)》を《怒りの天使アクローマ/Akroma, Angel of Wrath(TSB)》へ。またしてもこれが通ってしまい、2体の天使が場に降臨した。

不幸系キャラで売ってる岡田だが…

そのまま鈴木の天使達の強烈な11点攻撃。
どうにか解答を見つけなければならない岡田、《悪魔火/Demonfire(DIS)》で《絶望の天使/Angel of Despair(GPT)》を焼き払うことには成功するも、プロテクション赤を持った《怒りの天使アクローマ/Akroma, Angel of Wrath(TSB)》はどうしようもない。
《電解/Electrolyze(GPT)》に希望を求めてはみるものの、この美しき天使の前に屈することとなった。


鈴木 1-0 岡田

サイドボーディング、鈴木は《神の怒り/Wrath of God(9ED)》を4枚、《怒りの天使アクローマ/Akroma, Angel of Wrath(TSB)》《骸骨の吸血鬼/Skeletal Vampire(GPT)》などをアウトし、《意志を曲げる者/Willbender(TSB)》《マナ漏出/Mana Leak(9ED)》、《併合/Annex(9ED)》をインした。
岡田はサイドボードの中に《煮えたぎる歌/Seething Song(9ED)》《ドラゴンの嵐/Dragonstorm(TSB)》などわくわくさせるようなカードが見えたものの当然の如くこれらは無視、《併合/Annex(9ED)》4枚、《道化の王笏/Jester’s Scepter(CSP)》3枚、《ザルファーの魔道士、テフェリー/Teferi, Mage of Zhalfir(TSP)》をインして《燎原の火/Wildfire(9ED)》《撤廃/Repeal(GPT)》などをアウトした。


Game 2
岡田の先攻で今回は両者マリガンなし。
互いに土地を置いて印鑑を置きあう展開、岡田は3ターン目にさらに《イゼットの印鑑/Izzet Signet(GPT)》と《虹色のレンズ/Prismatic Lens(TSP)》を置いてマナを伸ばす。が、1枚もウルザトロンが出ていない。
鈴木の3ターン目、少考して《併合/Annex(9ED)》を《蒸気孔/Steam Vents(GPT)》へキャストしてみるがこれは《マナ漏出/Mana Leak(9ED)》に遭う。
この後岡田は初めてのウルザトロンである《ウルザの塔/Urza’s Tower(9ED)》を置いてターンを返す。

鈴木は再び《併合/Annex(9ED)》を《ウルザの塔/Urza’s Tower(9ED)》へキャストするとこれが許可される。試合前の宣言どおり、このゲームでは最早岡田のトロンが揃う気配は皆無だ。

ここで鈴木は手札に《蘇生/Resurrection(TSB)》を抱えていきなり《絶望の天使/Angel of Despair(GPT)》をフルタップでキャスト。当然カウンターされるかと思いきやなんとこれまた通る。天使の放った閃光によって《ウルザの鉱山/Urza’s Mine(9ED)》が崩れ落ちる。
《蒸気孔/Steam Vents(GPT)》を置いてターンを返すしかない岡田、鈴木は更に《絶望の天使/Angel of Despair(GPT)》を追加する。《撤廃/Repeal(GPT)》を印鑑に撃って対応策を探してみるものの、何も無い。またも現れる天使。砕け散る《蒸気孔/Steam Vents(GPT)》。
やはり土地を置くのみでターンを返す岡田・・・。どうやら相当ドローには恵まれていないようである。
鈴木はダメ押しとばかりに変異(《意志を曲げる者/Willbender(TSB)》)を召喚、2体の天使による攻撃で、岡田はあっという間に虫の息だ。
《撤廃/Repeal(GPT)》を変異に撃つも、《意志を曲げる者/Willbender(TSB)》が正体を現すとマナコストが0から2に変わってしまうためドローはできない。その後《熟慮/Think Twice(TSP)》を撃ってはみるものの結局何も無し。そのまま鈴木が慈悲も休息も与えぬままに、岡田を蹂躙した。
実に、岡田は《マナ漏出/Mana Leak(9ED)》《撤廃/Repeal(GPT)》2枚と《熟慮/Think Twice(TSP)》以外は全てマナソースを引いていたのだった。


鈴木 2-0 岡田

トップ8に望みを繋いだ鈴木、果たして滑り込みはあるのか?
これからのラウンドが楽しみである。


Result: 鈴木貴大 Wins!
太陽拳!